こんにちは、参加作家のしばたたかひろです!! 本日はゲストトーク第4弾ということで、アニメーターやイラストレーターなど様々な分野で活躍している伊豆見香苗さんをお招きして、作品作りにおけるこだわりについてお話しできればと思います!! 伊豆見 香苗 イラストレーター、アニメーター、GIF作家など、様々な分野で活躍している超凄い人。フットワークがめちゃくちゃ軽く、その上なんでもやってこなす。Twitter、インスタ、YouTube、LINEスタンプなんでもこなす。凄い。「冷蔵庫の余り物で作ったよ〜。」と言って作ってくれる手料理がめちゃくちゃ美味い。 Twitter:https://twitter.com/izmizum HP:https://www.izumikanae.com しばた: 今日は、とにかくそれぞれの作品に対するこだわりについて話せたら良いなと思います。ひとまず作品を見た感想を聞けたら嬉しいです! 伊豆見: 作品の不安定な雰囲気が相変わらずしばたくんらしいな、というのが第一印象かな。一見綺麗で収まりがいいんだけど、床や家のパースが崩れてたり、その微妙な狂いがより見る側を不安 にさせるというか。 しばた: 確かに。基本的に僕の作品は過去の経験に基づいた景色や空間の中から、特に魅力的な部分をピックアップしてアニメーションに落とし込んでいるんだけど、過去の作品を見返したときにちょっと忠実に作りすぎてるかなと・・・。忠実っていうのはイメージを100%でアウトプットするってこともそうだし、あとデッサン力にコンプレックスがある故の「正確なパースで描きたい」っていう思いにも忠実で。でもそれってアニメーションを作る上ではデメリットにもなりうるから、今回は逆に自由なパースで描いてみようっていう試みはあったかも。それが結果的に不安さを増幅させたかな? 逆に伊豆見さんはそういう空間作りに於いてこだわりってある? 最近だと YOASOBI の「ハルカ」の MV を手掛けてたけど、このMVもそうだし過去の作品を見ても、一定して生活感が凄いなって思うんだよね。 YOASOBI「ハルカ」MV 伊豆見: アニメーションって実写じゃないじゃん。基本的に現実世界にないもので構成されてるというか。だけどそこに空間的な拡がりや、ないはずのものを「ここにある」って思わせたいんだよね。生きてる感とか。そういう取り組みの一つとしての生活感はあるかも。けど「ここにある」 感を強めるための方法を誤ると「それって実写で良くない?」ってなるから、そのリアルとフェイクの狭間のどこを切り取るかで探り探り制作してる感じ。 しばた: キャラクターが静止してる時にあえて 2、3枚のコマで輪郭線をプルプルさせるのもそうだよね。生きてる感、そこにいる感、空気感に繋げたい。 伊豆見: だって人って止まってる瞬間ないんだもん。常に揺れてる。 しばた: わかる、静止してるアニメーションだとしても、やっぱり連続してる動画の一部であって欲しいんだよね。時間軸を持ってて欲しい。。。 写真で思い出したけど、そういえば僕は元々実写をやってて最終的にアニメーションに落ち着いたけど、伊豆見さんも元は写真だよね? 伊豆見: そうだね、2人とも実写からアニメーションに転身してる。 そう言われてみれば確かにしばたくんの作品って映画的だよね。 しばた: 元々は実写の映画監督になることが夢だったし。 しばたが学部時代に撮った実写たち。女子高生ばっか撮ってた。 伊豆見: 元々実写やってたから、空気感にこだわりあるのかも。 しばた: 被写体とカメラの間にある空気の層を、平面アニメーションでも感じられるようにしたいよね。。。 伊豆見: 奥行きね。普段イラストを描くときは背景を白一色にしたりするんだけど、アニメーションを作るときは被写体となる主人公のさらに奥に空間が広がってて欲しい。主人公の奥にも人が居たり。 しばた: めっちゃわかる。。。空間的な拡がりや空気の層にこだわりだしたら、目の前で繰り広げられる主人公たちの物語だけじゃなくて、その奥で繰り広げられる無関係の人々の物語まで描きたくなってくる。。。主人公の奥でただ買い物してるような人を描くだけでも、そこには買い物する人の物語が追加されて、結果的に主人公と買い物する人の間に新たに空気の層ができるというか。でもそれって既に色んなアニメで取り入れられてることだけど、アニメーション描く人ならわかると思うけど、かなり骨の折れる作業なんだよね。。。 あとあれ、昔放送してたソフトバンクのCMで、ピコ太郎とジャスティン・ビーバーがコラぼしたCMがあったんだけど、廊下を歩くジャスティンの背後でずっとピコ太郎が踊ってるの。ピコ太郎からカメラが離れてピンボケしてもずっと。あれ観た時妙に感動しちゃったんだよね笑 伊豆見: あと私、しばたくんの作品の一瞬で終わるカット好きなんだよね。もどかしい気持ちになる。。。 しばた: 確かに、不意にカットが断ち切れることで感じられる空気感もあるかもね。余韻というか。その後続くはずだった時間の中に観客が取り残されるんだよね。現実世界で。 今の話は瞬間的な話だったけど、逆に長回しで得られる空気感も魅力的。最近A24の「A GHOST STORY」って映画を見たんだけど、主人公の女性がキッチンでひたすらパイを食べる様子を10分くらい長回ししてるカットがあって、映画はこういう時間の使い方ができるからいいなーって羨ましくなっちゃった。 伊豆見さんはGIFの作品も数多く手がけてるけど、GIFってループ故に、永遠に終わらない長回しとも言えるよね。GIFにこだわる理由の一つに長回しの魅力もあったりするの? 伊豆見: どうだろう、でも最近はGIFじゃなくてMVのお仕事が多いから、ゆったりっていうよりはテンポ良くを意識してるかも。長回しの良さはわかるんだけど、場合によっては観客が飽きちゃう恐れもあって。。。 GIFの話が出たから思い出したんだけど、そういえば最近はストーリー性のある作品が作ってみたいっていう気持ちがあって、GIFもそうだしキャラクターのイラストもそうだけど、私の作品ってストーリーがないんだよね。ストーリーがないからこそ、観客に委ねる部分が発生するというか、他者の解釈が生まれてそれはいいことなんだけど。 しばた: 大学の卒業制作はストーリーがあったよね? 伊豆見: 確かにストーリーっぽいものは一応あったけど、直接的じゃなかったり結局解釈を観客に委ねる部分が多かったから、もう少しわかりやすく、具体的に作ってみたいな。最近練習としてストーリ性のあるショートアニメを作ったりしてるんだけど、ストーリー性を保ちつつ、さらにキャラクター性にも厚みをつけて、作品全体のボリュームを上げたいかな。主人公のキャラクターの家族構成や背景まで設定するような。 しばた: ストーリーね。 伊豆見: STORY。。。 しばた: 僕も伊豆見さんと同じく、作る作品がことごとく抽象的で、解釈が難しいって言われるんだよね。一回くらい観客に的確に意図が伝わる作品を作ってみたい。。。 伊豆見: その抽象的か直接的かっていうのは、作品がアートなのか商業なのかを隔てる要素の一つでもあるよね。最近村上隆のクラブハウス聴いてるんだけど、「アートは見てる人の気分によって解釈が違って良い」って話をするの。例えば見る人が失恋して落ち込んでる状態で作品を見れば悲しい解釈をするし、楽しければ楽しい解釈をするし。それで良いのがアートだって。けど一方で商業になると、見る人全員に同じ感情を抱かせるのが一つポイントになってくる。しばたくんは商業としての一面もあるけど、やっぱり作家性の占める割合が多いように思うから、解釈が難しいって言われたってそれで良いと思うよ。アートやってるんだもん。 しばた: ありがとう、でもやっぱり一度は明快な作品も作って見たいね〜。 そういえば前に大学院の授業で、感動とか恐怖とか笑いとか色んな人の感情がある中で、一番笑いを取るのが難しいって聞いたことがある。だから一度は笑いのあるアニメーション作品に挑戦してみたい気持ちがあるんだよね。けど笑いが取れず滑った時の恐怖もある。 一時期ギャグ系の漫画を Twitterに投稿してた時があったんだけど、見事に滑ったね。 Twitterで大コケした漫画。虹の話が個人的には好きだった。 伊豆見: お笑いに対してみんな目が肥えてるからね、求めるもののレベルが高くなってるよね笑 しばた: あと僕が変にアーティスト気取りだから、ギャグ漫画にすらアート的な要素を孕んじゃって(※1)、「一体これは何・・・?」ってなっちゃったり笑 ※1 改めて見返すとアート的要素皆無なので撤回。 ちょっと話が戻るんだけど、いつも自主制作するってなってアイデア出しし始めると、よくわからないけどとにかく感動系を作りたいって思いが強かったんだよね。それなのに最近急にホラー系を作ってみたいなって思うようになったのよ。笑いはゴールに残しておくとして。観客の色んな感情を揺すぶってみたい。 伊豆見: 確かに、しばたくんならホラーいけそう。作風とも合ってる。 私も最近シュールホラーみたいなものを目指してて、例えば普段よくエビのイラストを描いてるんだけど、そのえびに海老天を持たせるみたいな。 海老天を持つエビ。 しばた: それはホラーだわ。 伊豆見: グロかったり幽霊が出てくるとか、そういうホラーとは方向性の違うホラー。あとあれだね、人を傷つけないホラーがいいな。 しばた: 「人を傷つけない」ね、めちゃくちゃわかる、なんだろう最近凄い意識する。商業に興味を持ち始めたり、作家活動に SNSを活用するようになってから「自分の作品が誰かを傷つけないかどうか」はかなり気にするようになったな。 前に一回 Twitterの投稿文を指摘されたことがあって、「〇〇するぞ!」っていう文体での投稿に対して「言葉遣いが悪いからやめてください。」って。何が人を傷つけてるのかわからないよ。 伊豆見: ハム太郎が「〇〇なのだ!」っていうのも、もしかしてNG? しばた: 上から目線な感じがするからNGかもよ。わがままな感じがするって言われたらどうしよ。傲慢とか。。。気にし出したらキリがないよね笑 どうしたら良いんだろ。もちろん中には極端な意見もあるけど、やっぱり人の意見って大切だし、かといって否定的なものを全て作品に反映させようとすると、時には作品がつまらなくなったりする。 伊豆見: 人の意見を重点にはしたくないかもね。あくまで自分の考えが主体で、時に人の意見にも耳を傾けるというか。 しばた: 当初はお互いの作品に対するこだわりを出し合って、その違いについて考えられたら良いなと思ってたけど、思いのほか共通点が多くてびっくり笑 そしたら我々は直近の目標として、自分の作りたいものを、時々人の意見も挟みつつ、物語が観 客に的確に伝わるような作品を作ってみる(とりあえずホラーに挑戦してみて、いつか笑いも取れたらハッピー)って感じでまとめましょう!!!!!!!!本日はありがとうございました!!!!!!! 伊豆見: ありがとうございました! 以上、しばたたかひろと伊豆見香苗のトークでした。 ガストで食事しながら対談したせいか、対談というか雑談といった具合に仕上がってしまいました。僕ももう大学院を卒業して3年目。新作を作らなければというプレッシャーに押しつぶされそうな日々だったので、ぼんやりと作品の糸口が見えてとても良かったです。お付き合い頂きありがとうございました〜! しばたたかひろ Comments are closed.
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Author「ここではないどこか」の誰か ArchivesCategories |